~赤い月が陰る頃~吸血鬼×妖狐執事
教室のドアを開けようとした矢先、
廊下から、ざわざわと人の群れる声がこちらへ近づいてきた。
そして、扉が開け放たれると、
喧騒がさらに鮮明になり、中心と思われる背の高い男が、扉の真ん前に立っている私を一瞥する。
「邪魔しちゃったね、ごめん」
すれ違いざまにそう言われた。
次いで、その人に続くようにして、多数の女子がなだれのように教室内へと流れ込んできた。
私は何事も無かったかのように、教室を後にした。