クールな先輩を恋の矢で射止めます
「おい!雪名!」
しーんとした弓道場にぴしゃんと山崎先輩の声が響き渡った。
「お前の練習はこれからでも、花ちゃんの練習は今までの時間だったんだよ!
これじゃあどんどん1年生との差が開いていくだろ。
聞いてんのかよ!雪名!」
雪名先輩は返事をせずに手首を回したり、軽くストレッチをすると
弓や矢を持って来たり、弽(ゆがけ)という弓を引くときに右手にはめる、手袋のようなものをし始めた。
そしてくるっと振り返ると、足音を立てずに無表情であたしの方に向かって歩いてきた。
彼はあたしの目の前まで来るとスっと足を止めてこう言った。
「……俺の技術はあんたの目で見て盗め」