クールな先輩を恋の矢で射止めます



「あの、それってどういう」



彼はあたしの言葉を最後まで聞かずに再び的のある方へ足を向ける。



そして彼の表情は一気に凛々しくなった。



離れた的の方をじっと見つめて



……弓に矢をかけた。



そして足を踏み開いて、弦を持って上にあげてぎゅーっと引っ張ると……



矢は的に向かって迷いなく風のように飛んで行った。



――パシュッ



―パアン



誰でもできちゃいそうな感じで簡単に的を当ててしまう先輩。



でもそれはきっとそう見えるだけで、実際はすごく難しいんだと思う。



しかも『……俺の技術はあんたの目で見て盗め』って言われたのに、結局見惚れちゃって弓の引き方なんて全然見てなかった……。



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