社内恋愛発令中【完】
助けてくれた男の人の特徴はそれくらいしか覚えていなかった。



探す手がかりに欠けている。



諦めて会社までの道のりを小走りで進んだ。



__________



「今日から働かせていただく…」



会社に着くと、同年代と思われる人が思いの外多かった。



ほっとして、自分の名前が呼ばれていることに気づかずに下を向く。



「次の方!!」



名前呼ばれてるよ、と隣の女の人に背中を優しく叩かれ、やっとのことで顔を上げた。



「あ、えと、きょ、今日からはたたた、働かせていただきます、双葉 詩苑(フタバ シオン)です…!」



一瞬の沈黙のあと、クスクスと響く笑い声。



やってしまった、と恥ずかしくなった。
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