それでも僕らは恋と呼ぶ。
「じゃぁね」
少ししたところの分かれ道で、オレと佐野は別々の道を行く。
暗い中に溶けてなくなってしまいそうな佐野の背中を見てると、なんだか少し心臓がキュっとなる。
「佐野!」
思わずオレは少し大きな声を出して彼女を呼び止めていた。
佐野はチャリをとめてくるっとオレのほうもむく。
暗がりの中、月の光でうきでる佐野の白い肌に、心臓がヒリヒリするような感覚に陥った。
「あ、あのさ・・・」
なんでオレ、呼び止めてんだ。
なんか、暗い中に佐野が消えてしまいそうな感覚になったんだ。
「もう少し先行ってから道曲がるよ」
そう言って、オレは曲がった道を戻って、佐野の横までチャリで動く。
「なんで? どうしたの?」
「んー。今日はなんか一段と暗いし、いつもより部活が遅くなったから」
「へぇ。そんなこと気遣ってもらえてるんだ」
「まぁ、佐野も女子だしな」
なにそれ、と、彼女は笑う。
あぁ、なんかこいつの笑った顔みてるとなんか安心するわ。
暗いのが怖がりなのはオレのほうなんだろうか。
けっきょくオレが家についたのは、予定よりも10分ほど遅くなった。