Last Letter~手紙がくれた想い~
あたしの視力はかなりいいほう。
だから向こうの子の顔は丸見え。
でも、きっとあの子はそこまで目がよくないんだろうな。
かなり頑張ってスケッチブックに書かれた字を見ようとしている。
う~ん…
どうすればこの字が見えるようになるのかな??
眼鏡じゃ無理だろうしな…
ん????
眼鏡…??
そうだ、双眼鏡だ!!
あたしは手を筒状にして目に当てた。
伝わるか、賭けだった。
どうか…伝わりますように!!
心の中で祈る。
そして男の子は何かを思い立ったように、あたしに手のひらを向ける。
多分、
「ちょっと待って」
って言う意味だと思う。
男の子はベランダに出ていたのに、一度部屋の中に戻った。
でも、なかなか出てこなくて、
やっぱり、あたしのことはほったらかしなのか…
って、諦めに入っていた。
なのに、あなたはまたベランダに戻ってきてくれたんだ。
右手に双眼鏡を持って。