Last Letter~手紙がくれた想い~
「おい、準備できたか??」
玄関からリビングのほうに叫ぶ。
「今、行くね!!」
ドタドタと廊下を走る春樹。
その後ろを大きな欠伸をしながら歩く智樹。
顔はソックリなのに性格はまったく違う。
少し笑える。
「兄ちゃん、何笑ってるの??」
春樹が不思議そうに俺を見つめている。
「ん?なんでもねぇよ??
智樹、早くしろよ」
先に2人を出してから家の鍵をしめた。
「じゃあ、気をつけて行ってこいよ?」
「「いってきます」」
声をそろえて2人は小学校へ歩いて行った。
俺は反対方向へ自転車をこぐ。
俺の家から高校まで自転車で約20分。
自宅から通いやすい、という理由で高校を選んだ俺。
そのほうが都合がいいんだ。
春樹や智樹に何かあったらすぐに駆け付けられるからな。
「だーいきっ!!」
自転車で進む俺の目の前に飛び出してきたコイツ。
「危ねぇだろ?弘斗…」
弘斗……神谷 弘斗(カミヤ ヒロト)
高校で知り合った。
ウザイくらい人懐っこいんだ。
少しだけ、春樹に似ている。
「相変わらず冷めてんねぇー!!
それより、ココ乗るぞ??」
俺が返事をする前に自転車の荷台に乗る弘斗。
これは3年間ずっと繰り返されていたこと。