太陽と月の後継者

なにを気を付けるのかと教室まで頭を悩ませる。

教室は、机が中央に向かって円形に配置されていて先生の授業をどの角度からも観察できる。ひとつの机に2、3人は座れるようになっていた。

クロエが適当に席に座ると、隣にレイが座る。

すると、ゾロゾロと人がやってきた。
その中の3人がクロエの方へ歩いて来る。

「前、いいか?」

ぶっきらぼうな声が聞こえ、クロエは顔を上げた。

その瞬間、彼女の綺麗な瞳は大きく揺れる。

美しい白銀の髪、藍い瞳。陶器のような肌、
片目は見えないがその美貌は計り知れない。

ーーードクンッ

突如鳴り出す胸に手を当てた。

『うん』

暫らくすると、胸の高鳴りは消えた。
そのこと不思議に思ったクロエは首を傾げる。

「クレア・フルームさん。だよね?」

『え…?』

先ほどの3人のうちの1人が彼女に話しかける。

「俺はヨウテス・クラビアン。
気軽にヨウとでもよんで」

涼し気な黒髪にエメラルドグリーンの瞳。
背も高く爽やかな印象を持たせる。

『ヨウ よろしくね
私のことはクレアでいいよ。』

クロエも爽やかな笑顔を向ける。

すると、隣にいた栗色の髪に琥珀色の瞳をしたなんとも可愛らしい少年が彼女に声をかけた。

「ヨウテスずるいー!
俺はリオ・クラネス よろしくねっ」

ころころと変わる表情に笑みが零れる。

『クスッ…よろしくね、リオ』

リオは照れたように頬を赤くした。

ヨウはもう一人の男の子、銀髪の少年を軽く小突く。

「ルカ お前も挨拶しろよ」

「…ルカ・オスロ よろしく」

面倒臭そうに後ろを振り向く。ルカと名乗る少年をクロエは惹かれるように見つめる。

『ルカ…よろしくね』

頷くとルカは再び前に向き直った。

「あー…コイツはもとからこんなやつだから、あんま気にすんなよ。」

『ううん そうじゃないの』

そうじゃない。彼女は何度もこの言葉を心の中で囁いた。

“貴方は、誰?”


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