太陽と月の後継者
4章〜パンドラの箱〜
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誰もいない部屋。

もう、既に心の拠り所となっていたアジト。

クロエは、シルバーの部屋を開けた。

シルバーはまだ任務から戻っていないようだ。

『シルバーも忙しいもんね。』

普段王の護衛として働いているシルバー。
見た目に反して強さが並ではない。

『魔獣と人の子…。』

“化け物”

『私は死ねないけど、もし、死ねたとしても生まれ変わってまた天羽になる。

なにも変わらないんだ。ただひたすら繰り返すだけ。』

クロエは、そのままシルバーの部屋で眠った。










真夜中、シルバーはアジトへ戻ってきた。

「コウ

久しぶりだな。」

「そうですね。

…なにか部屋に飼っているのですか?

ボクの嫌いな匂いがします。」

コウは怪訝そうに
眉間にシワを寄せる。

シルバーは、はっとして部屋に入った。

廊下にひとりコウは言葉を落とす。

「…笑顔は嫌いです。

苦しい顔の方がいいです。

特に女性は。」

狂気的な笑みを浮かべた。

コウの種族は蝶。

甘い蜜が大好物。

蜜は蝶それぞれ好みが違う。

コウの場合は好きな人の苦しむ顔であった。

連続殺人の理由は、
家族の苦しむ顔が見たかったから。

誰にも取られないよう。

自分という鎖に繋げられるように。

「ボクは、君の壊れる姿を見たいです。」

完璧に病んでいる彼を助けられるものは居るのだろうか。

「クスッ…楽しみですね。」

そう言うと、また暗闇に消えた。


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