太陽と月の後継者
部屋の中には、
ベッドに体を起こしたクロエがいた。
『おはよっ美味しそうだね!』
明るく振る舞うクロエは、
やはり無理をしているようだ。
「…食べろ
それと、俺の前では無理すんな。」
シルバーはそう言うと、
小さいテーブルの上に朝食を置いた。
香ばしいパンの香りと暖かいスープの匂い。
クロエの喉がゴクリと音を立てる。
『いただきます!』
思いの外よく食べる彼女に、
シルバーはあんぐりと口を開けた。
「食ってなかったのか?」
『昨日の朝からね。』
「……もっと食えよ。
魔法は体力を使う。」
クロエは無我夢中にパンにかぶりつく。
何かの隙間を埋めるように。
『おい…しい』
美味しそうに頬を緩める彼女は、
ぽたぽたと涙を流した。