太陽と月の後継者







「…クレア、ううん。
クロエにはそんな力があったのね。」

アリスは考え込むように顎に手を添える。クランはゲーテを連れてアジトへ戻ってきた。

「おい、何す…って、クレア!?
お前、リオ達がどんだけ心配…ってなんだよこの状況は。」

一々騒がしいゲーテに、コウは眉を引き攣らせる。

「五月蝿いひとですね。貴方は何のために学園へ行っているんですか?」

クランは先程あった事を話す。

話終えるとシルバーはゲーテに食いかかる。

「お前はクロエの番犬だ…死守しろ。

絶対に離れるな。」

クランはクロエの背中にそっと手を添えて牢獄へ向かう。

その後をゲーテは静かについて行った。

牢の部屋の扉の前に、ゲーテは座る。
中の音が全く聞こえないのに不安を覚えたが、じっとそこに座っている。

「頼んだよ」

クランの貼り付けたような相変わらずの笑顔を尻目に、ふっと溜息を吐いた。

「おい、聞こえるか?」

そう問うたものの返事は返ってこない。

声が全く聞こえない。ゲーテはどうやって彼女を守ろうか考えることにした。

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