太陽と月の後継者
『レイに怒られちゃうかな。』
さみしそうに笑うとレイを抱き起こして被害の少なそうなところに運んだ。
『もう、会えないかもしれない。』
そう呟いた瞬間、体に何か温かいものが触れる。
彼女はそれを見ると絶句した。
前を見ると心臓を貫かれたレイ。
剣が抜かれると力なく倒れる彼女の体を抱き留める。
『レイっレイっ....貴様...!!!!!』
剣を貫いたのはレイの父レオン。
残酷で非道で光のない目でレイを見る。
「使えないな...」
吐き捨てるように言った彼を睨みあげるクロエ。
実の娘を道具としか思っていない男。
噂によれば妻を惨殺したとか。
顎を鷲掴みにされたクロエはルカの時には感じなかった嫌悪感を覚えた。
「悔しいのなら、我の物になれ。
覚悟ができたら我の元へ来い。
そして我はその力を手に入れる。
1000年お前を物にしようと朱雀族はずっと計画をしていた。しかし…当時から五大魔法使いの邪魔は続いた。漸く、漸く決行できる。」
含み笑いをしてその場を去る男。
クロエは冷えていく彼女の体を抱きしめた。
「馬鹿...殺せって言っただろ。」
レイは血を吐きながらそう言う。
「私は...最後まで..ウッ.....
あいつに人生を、決められるのは嫌、だ。
お願いだ...殺せ
もう、お前の血を飲んでも
たす...か.......頼、っ。」