太陽と月の後継者

次の瞬間、全ての者が何かが外れるような音を聞いた。

何が起きたのか分からなかった。

クロエの二段階目の解放は、“生”を諦めたときに発動する。

眩い輝くような白が彼女を包む。

それをまともに目にしたレオンは目を覆った。

「あれは...」

ビアンカがリオを支えながら前を見る。

「光の君」

ライトは静かにそれを見守った。

クロエの神話の結末を思い出す。

火の海に包まれた世界

アースの城に避難していた者もその静けさに外へ踏み出した。

「悲劇の姫」

エルメスはその未来を覗く美しい瞳で全てを見る。

エルやキルアは仲間を救い出し共に見ていた。

「クロエ様...」

美しすぎるその姿

一段階の解放のときに足についていた鎖はもう外れていた。

光が収まってきた頃、世界は七色の淡い光に包まれる。

全ての者は終結の時を目に刻もうとその一瞬一瞬を目に刻む。

その淡い光は地の加護にも勝る癒やしの力を持っていた。

『レオン・ニコラス

貴方は私を怒らせた。』

強く仲間を思うその瞳にレオンはそれでも笑い続ける。

「よくぞ目覚めてくれた!

さぁその力を私のために使えっ。
クックック、これで世界は我の者だ!!!」

とうとう頭が可笑しくなったのか。

中毒性のせいか。

なにかはわからない。

だが彼にはもう何一つ無い。

『お前は仲間を裏切り、
欲望のために家族を捨て、
そして全てを失った。

もうお前に従う者も居ない。

欲が全てを狂わせた。

レイやこの戦いで死んだ者を思った事はあるか?

お前にはもう、自分を思って泣いてくれる者も居ない。』

一つ一つの言葉が全ての者に重くのしかかる。

彼のしてしまった罪はもう償うことすらままならない。

『私の血は、美味しかったか?』

クロエはゆっくりと彼に歩み寄った。

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