りんごのほっぺ
「具合悪い林檎ちゃんを置いて帰るほど俺は鬼じゃねえよ」
「…で、でも、なんか申し訳な、」
「心配すんなって。今度はお姫様抱っこでうさちゃんパンツが見えないようにするからよ」
あー…、やっぱりバレてたんだ。蘇る数時間前の屈辱に眉を寄せる。でも、反論する元気は無かった。
「お姫様抱っこは遠慮しときます」
「じゃー、おんぶか?」
「…肩に担ぐのとお姫様抱っこ以外ならどんなやつでも助かります」
申し訳ないとは思いつつも連れて帰ってくれるのは有難い。当分歩けそうになったから。
身体を起こそうとすれば、すかさず那智さんが、飲み終わるまで横になっとけよ。と言ってくれて、その言葉通りにまたベンチに頭をくっつける。
……なんか、那智さんが、優しい。
「林檎ちゃんの家はどこなんだ?」
「えっと、せせらぎ川の近くです」
「ふうん。そっか。りょーかい」
「……え、まさか家まで?」
ぱちくり瞬きをすれば、那智さんが当たり前だろって顔で頷く。
「家まで送ってやんよ」
あれれれ。やっぱり那智さんが優しい。あの横暴で無神経で自分勝手な那智さんが優しい。……調子が、狂う。