幻が視る固定未来
見失っていたもの
――目覚めたのはベッドの上、しかも自分の部屋。恐らく助歌が運んだのだろう。

体を起こしてゆっくりと頭のギアを回転させる。

今の時間は……訓練してから数分ということはないだろう。それに神素もそれなりに回復している。つまり丸一日寝ていたらしい。

夕方になるような時間。
起こそうとしたが起きなかったのか、それとも最初から起こすつもりはなかったのか、今日も学校をサボったことになる。

かなり学校には行っていない。けど訪問者は誰もいない。
母さんが何かしらの理由を付けたのだろう。けど実際に訪問者がいない訳ではない。正確に言うならオレに会った訪問者はいないということ。

それなりにここに来たやつはいるらしい。けど助歌達に追い払われた。そんなところだろう。誰も会うつもりはないから丁度いい。

多分、奈々ですら追い払われているだろう。携帯もうるさいから電源が入っていないし。
一体いつ誰がどんな心配を抱いてるかなんて知らない。知る必要もないとオレは考えている。
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