恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「挨拶に行った方がいいですか?」


日下部長に聞くと、彼は腕組みをしたままチッと舌を鳴らした。


「お前だけ行って来い」

「はい?」

「俺は専務と同じく、あの副社長も嫌いだ」


やっぱりあの人、副社長なんだ。

いくら人事部でも、あまりに上の役職の人には直接会ったことがない。

名前は確か、日下誠也さんだっけ? 

日下部長が動く気配がないので、少し心細く思いながらも、ひとりで挨拶に行こうとした、そのとき。


「おい、一成!」


副社長が、にこやかにこちらに向かって手を振る。

一成って、日下部長のことだよね。

挨拶をするタイミングを完全に失った私は、頭を下げるだけにとどまった。


「今回のCMは営業部の案を使うことになったと聞いてな」

「わざわざ御足労いただかなくても良かったのに。お忙しいでしょう」


日下部長は無表情で答える。その声には、いっさい親しみを感じなかった。


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