恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
表情はほとんど変わらないけど、その声には優しさが溢れていて。
「今までは笑えるようなこともなかっただろうけど、これからはもっと、俺が笑わせてやるから」
「……っ、ふ……」
「泣くな、メイクが崩れる。完璧にこの仕事をこなして来い。終わったら、どれだけでも抱きしめてやる」
手を離され、頭をぐしゃぐしゃとなでられる。
私は懸命に涙をこらえ、うなずいた。
泣くななんて、ひどい。笑顔が好きだなんて言われたら、泣くしかないじゃない。
そんなこと、今まで誰も、言ってくれたことなかったんだもの。
「行くぞ」
「は、はい!」
部長がドアを開ける。
その向こうには、室内なのに太陽が出ているように眩しい照明たち。
今まで誰も、私を見てくれなかった。
本当は、誰かに見てほしかった。私だけを……。
髪とメイクを少し直してもらい、私は歩み出した。
今まで私には一筋だって当たることのなかった、眩しい光の中へ。