恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「わかりました。じゃあ、今からうかがいますね」

『え?いいの? 若い者に持っていかせるよ』

「大丈夫です」


さすがに廊下で自分の顔がバーンと見えてしまうのは恥ずかしい。

自分で持ってくれば、うまいこと隠しながら運ぶことができる。

電話を切って立ち上がると、一成が視線だけ上げた。


「部長、販促部へおつかいに行ってきます。例の販促物をくださるそうなので」

「そんなもの、持ってこさせればいい」

「いえ、細川部長に直接お礼を言いたいので」


もっともらしい理由をつけると、一成はふむとうなずいた。


「よし。すぐ戻ってこい。気をつけて」

「気をつけてって……初めてのおつかいじゃないんですから」


桑名さんが揚げ足をとって笑うと、一成のメガネがきらりと光る。

黙った桑名さんは無視して、オフィスの外へと出ていった。

一成は、販促部に行くことで私が嫌な思いをしないか、心配してくれたんだと思う。そう、そこには佐伯くんがいるから。

大丈夫かな、あの人。もう気持ちの整理がついているといいんだけど。

きっと、あれだけ周りが見えなくなるほど、知美のことが好きだったんだよね。

でもそこはあんな人でなしを好きになった佐伯くんが悪いんだよ。早く成仏してね。


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