恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「実は、親父が一か月前から入院してて」
車を出して少ししたあと、一成が話しだす。
「入院……」
一成のお父さんはたしか、うちの会社の社長だ。
社長が入院しているなんて、聞いたことない。きっと極秘事項なんだろう。
「平たく言えばがんなんだが、やたらあちこち検査をして、結果が出ると医者に呼び出される」
がんだなんて……闘病する本人がどんなに辛いか、想像もつかない。それを見守る家族だって、気が気じゃないだろう。
軽く“それは大変ですね~”なんて言えなくて、小さくうなずく。
「それで、今日も検査結果を聞きに行くんですか?」
「いや、今日は違う。父は入院してからメンタルもやられてしまったみたいで、たまに錯乱してしまう。すると家族が呼ばれるんだ。俺が行くと、少し気持ちが落ち着くらしい」
「そう、ですか……」
何て言っていいのか、ますますわからなくなる。
そんなところに一緒にいって、私に何ができるだろう。
「もしかして、最近疲れていたように見えたのは、お父さんの看護が大変だったからですか?」
ふと思いついたことを聞くと、一成は静かに首を振る。