恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


副社長と理沙さんが婚約を破棄したと聞き、歪んだ一成の顔。

仕事中だって、そうじゃないときだって、あんなに怒った顔を見たことはなかった。

きっと彼は、理沙さんが副社長に傷つけられたのだと思って怒ったのだろう。理沙さんの気持ちを考えて……。


「かもね」


沈んでいく私の気持ちも知らず、副社長は平然と答える。


「じゃあ、きみは俺と遊びに行く?」


赤信号で、副社長がこちらを見ていたずらっ子のように笑う。

けれど、私の心は凍てついていくばかりだった。


「いいえ。ここで失礼します」


シートベルトを外し、ドアを開ける。


「待って、本当に?」

「ええ。どうもありがとうございました」


お礼を言い、信号が変わる前にドアを閉めて歩道へ避難した。外はすっかり暗くなっている。

副社長は車の中で何か言っているみたいだったけど、信号が青に変わるとそのまま行ってしまった。

病院でも忙しそうにしてたもの。きっともともと用事があったんだろう。

あんな人でなしの言うことを真に受けて“一緒に行きます”となるわけがない。


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