恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「聞かなきゃ良かったなあ……」
幸い降ろしてもらったのは駅の近くで、角を曲がるとすぐに飲み屋が並んでいる通りに出た。
慣れない靴でぺたぺたと歩いていると、泣きそうな気分になってくる。
一成は、私の笑顔を好きだと言ってくれた。
けれど、それは本当に“白鳥姫香の”笑顔だったのだろうか。
私に、奥様の面影を見いだしたから、そう思っただけ?
今彼は、誰を見ているの?
ぐるぐると色々な考えが頭の中をめぐる。
「……どこかで飲んじゃおうかなあ」
でも、一人で飲み屋に入る勇気はさすがにないなあ……と思っていると。
「姫香?」
後ろから声をかけられ、振り向く。
そこには、良く知った知美の姿が。
休日の知美は仕事モードよりカジュアルで、サマーセーターにロングスカートとスニーカーを合わせている。そんな姿でも、通りすがりの酔っ払いがことごとく振り向くくらい綺麗。
「どうしたの? なんか今日、可愛い」
知美は軽やかな笑顔で私の前に駆け寄る。
「知美……」
大嫌いなやつだけど、なぜかその顔を見たら、涙腺がゆるんだ。