恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「申し訳ありません、そちらのコースは予約制となっておりまして」
「店長にこれを渡してくれ」
頭を下げる店員に、日下部長は名刺を差し出す。
それを見た店員は、はっと目を見張った。
「いえ、大丈夫です! かしこまりました!」
店員は、しゃきっと背を伸ばし、その場から離れていった。
もしや、日下一族の行きつけのお店なのか?
だとしたら、すごい。住む世界が違うって、こういうことを言うのか? いや、ちょっと違うか。
「私、和牛なんて食べたことないです」
実家は庶民中の庶民で、食卓に牛さんが上ることなんてほとんどない。
たまーに上がったとしても、外国産の安い細切れだ。
「それは良かった。初体験か」
部長は微妙に微笑むと、「飲み物だけは自分で決めろ」と再度メニューを渡してきた。
「では、ウーロン茶で」
無難に決めた瞬間、キムチの盛り合わせが運ばれて来たので、ついでに注文する。
部長も運転をするので、同じものを頼んだ。