恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「これ、どこかに保存しておけ。今はパソコンに触らなくていい。すぐ移動する」

「はい?」

「今から、営業部と販促部の合同会議がある。それについてきてもらう」


販促部って、CMとか新聞広告とか、お店のディスプレイとか、そういったものを扱う部署だよね。

そこと合同の会議に、なぜ私が?


「営業事務は営業担当の秘書みたいなものだと思って。いってらっしゃ~い」


オシャレメガネの桑名さんが、相変わらずパソコンを見たまま手を振る。

うそ~。とにかく、メモ帳とペンくらいはいるよね?

近くにあったペンケースを取ろうとすると、部長に制された。


「何もいらない。お前の身一つでいい」

「ええっ」

「ついてこい」


そう言うと、日下部長は自分だけタブレットを持ち、すりガラスの部屋から出ていく。

慌ててついていくと、また社員が一斉にこちらを振り返った。


「会議に出てくる」


部長がそう言うと、がたっとイスを鳴らして知美が立ち上がった。

何か言いたそうだったけど、私たちが営業部のオフィスを出るまで、彼女は何も言わなかった。


「い、行ってきま~す」


一応挨拶をしたけれど、返してくれる社員はひとりもいなかった。


< 72 / 286 >

この作品をシェア

pagetop