恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「これ、どこかに保存しておけ。今はパソコンに触らなくていい。すぐ移動する」
「はい?」
「今から、営業部と販促部の合同会議がある。それについてきてもらう」
販促部って、CMとか新聞広告とか、お店のディスプレイとか、そういったものを扱う部署だよね。
そこと合同の会議に、なぜ私が?
「営業事務は営業担当の秘書みたいなものだと思って。いってらっしゃ~い」
オシャレメガネの桑名さんが、相変わらずパソコンを見たまま手を振る。
うそ~。とにかく、メモ帳とペンくらいはいるよね?
近くにあったペンケースを取ろうとすると、部長に制された。
「何もいらない。お前の身一つでいい」
「ええっ」
「ついてこい」
そう言うと、日下部長は自分だけタブレットを持ち、すりガラスの部屋から出ていく。
慌ててついていくと、また社員が一斉にこちらを振り返った。
「会議に出てくる」
部長がそう言うと、がたっとイスを鳴らして知美が立ち上がった。
何か言いたそうだったけど、私たちが営業部のオフィスを出るまで、彼女は何も言わなかった。
「い、行ってきま~す」
一応挨拶をしたけれど、返してくれる社員はひとりもいなかった。