恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「まあ、聞きなれるまでは大変かもだけど、慣れたら大丈夫だよ。だって、人事部の大事な仕事、ほとんど一人でやってたんでしょ?」
隣にイスを持ってきて座って教えてくれていた桑名さんが、ぽんぽんと私の肩を叩いた。
部長、私のことをそんなふうに紹介していたんだ。
「うう……頑張りますので、ご指導よろしくお願いします」
「やだ。俺も忙しいから、なるべく自分で考えて、わからないときだけ聞いて」
桑名さんは笑顔でそんなことを言う。
この部屋、悪魔しかいない……。
じっとりにらんでいると、終業のベルが鳴った。
「お疲れ様でーす」
優秀な桑名さんは、ベルが鳴るなり立ち上がり、さっと帰ってしまう。
すりガラスの向こうもざわざわとしていて、どうやら事務さんも営業さんも、いっせいに帰っていくみたい。
最近は残業をしないようにさせる企業が多いっていうけど、うちもそうだったのかしら。
私は人事部でやむを得ず残業ばかりしてたけど。ここの人たちは時間内に仕事を終わらせられる人たちばかりなのか、分業がうまくいっているのか。