地味な私が恋したヒト
「何それ……!あたし、桜井に話つけてくる」
舞香はそう言うと控え席から立ち上がって、桜井くんの方へと行こうとしていた。
「ま、待って!私、今回は自分でどうにかしたいの」
どうにかするって言っても、もうどうにもならないことはわかってるけど。
いつも舞香に頼ってばっかで、自分では何もしなくて……。
だけど、今回は……桜井くんのことは、自分でちゃんときりをつけたい。
「だけど、アイツゆらを傷つけたから一発言ってやらないとあたしの気が収まらない」
舞香の気持ちは嬉しい。
でも私はいつまでも頼ってばっかでいいの?
「それにさ、ゆらのことだからまだ桜井のこと好きなんでしょ?」
舞香には何でもお見通しだね。
私が桜井くんをまだ好きなままってことをわかっちゃうなんて。
「好き、だよ……っ。私、どうしたらいいの……っ?」
こんなこと舞香に聞いてもわかんないけど、自分でもわからないんだ。