嫌い、のち好き、のち愛
「はい、メニュー。何でもうまいけど、鯖の味噌煮と唐揚げがおすすめ」
俺がそう言うと真咲ちゃんはメニューに一通り目を通してから顔をあげた。
「じゃあ、鯖の味噌煮にします」
「じゃあ俺は唐揚げにしよっかな。少しあげるから味見してね」
おじちゃんに注文してから一口水を飲む。
窓の外を見ながらどう切り出すか考えていると、視線を感じて真咲ちゃんの方を向く。
真咲ちゃんは俺のことを真剣に見つめている。
どうしたのかと思っていると、真咲ちゃんは何かを決意したように口を開いた。
「あの、お願いがあるんです」
真剣な顔になんとなく俺も背筋が伸びる。
「あのですね、これから恐怖症のお話をすると
思うんですが……その、私の嫌いな、あの、あれの名前は言わないでいただきたいんです」
あれって……ああ、ヘビのことか。