ひなた と ひかり
『ずっと、ひかりのことが好きだった。ひなたじゃなくて。ひかりを』
次の瞬間、蓮くんはひかりにキスをした。
ひかりも予想していなかったのだろう。必死に逃げようとしている。
けれども、蓮くんに押さえ込まれて、離れられずにいた。
信じられなかった。
抱きしめていた蓮くんのマフラーが道路に落ちた。
何度も何度も、目をこすっては見て、こすっては見た。
けれども、見えた光景は同じだった。
そのうち、視界がぼやけ、歪んで、滲んで、もうはっきりとは見えなくなった。
ポケットからスマホを取り出し、蓮くんに電話をかける。
蓮くんは驚いた様子でひかりから体を離し、私の電話にでた。
『ひなた?どうしたんだよ?』
まるで何も無かったかのように蓮くんは私に尋ねた。
乾いた笑いが零れる。
『ひなた……?』
『蓮くん、別れよう。さよなら』