ひなた と ひかり
Ⅰ
高校2年、春
ー木戸ひなた視点。
「ひなた〜。理央(リオ)が待ってるよ」
「ひかりと理央、先言ってていいよ!!」
高校2年生になったばかり、朝。
今日から学校だなんてことをすっかりと忘れていた私は、パジャマ姿で歯磨き。
髪の毛は寝癖だらけ。
そんな私とはちがって、ひかりはもう準備完了。
顔を洗って鏡を見れば、いつもと同じ私の顔。
双子なのにこうも違う私たち。
まあ、二卵生だから全く同じわけではないんだけど。
鏡に向かって私は深くため息をついた。
「ひなた、はやくしろよ」
玄関から不満そうな声が聞こえる。
声の主は幼なじみの柳川 理央(ヤナガワ リオ)だ。
家がそばだから、ひかりと3人で小さい頃からよく遊んだ。
「先いってていーってば」
玄関に向かってそう叫べば扉の開く音が聞こえる。
私も早く準備しないとな。