手に入れる女
「……妻と離婚しないと決めたんだ。だから、君との関係は早く断つほうがいいと思ってる」
「あたしより美智子さんを愛してるんだ」
佐藤はなぜか即答できなかった。一瞬間があいた後、優香の顔を覗き込むようにして言った。
「その質問に答えて欲しい?」
優香から目をそらさなかった。
優香は怯えたような顔をすると首を横に振ったが、やがてまた優香は口を開いた。
「美智子さんにばらしちゃうよ。全部、言っちゃうから」
明らかに開き直った声を出している。
悔しそうなその顔が優香らしくて可愛いと思った。こんな時に不謹慎だとも思ったが、思わず微笑がこぼれる。
優香は佐藤を本気で脅かしているつもりだったが、佐藤は全く動じなかった。
「それで君の気がすむんならそうして欲しい」
「本当に言っちゃうよ? そしたら美智子さんに捨てられちゃうかもしれないのよ?」
「かもね」
「いいの? そんなことになっても」
「そうなったら、それは君と寝た罰ってことなんだろう。しょうがないさ」