手に入れる女
まるで、美智子が結婚式を挙げるかのような興奮ぶりである。
美智子のはしゃぎっぷりを横で見れば見るほど、佐藤の胸の内に澱のようなものが少しずつ沈んでいった。
「結婚するのは圭太たちなんだからさ……あまり口出ししない方がいいんじゃないか?」
優香と圭太の結婚式など関わりたくもない。
できれば結婚式のことは話題にしたくなかったが、美智子はそれでは許してくれそうもない。
佐藤が言えるのはせいぜいこのぐらいが精一杯である。
「あの二人に任せてたら、お式なんて実現しないわよ。
私が優香さんに一緒に下見に行きましょう、っていくら言っても、お義母さまが代わりに見て下さいます、って、そればっかりなんだもの」
「……圭太は? 何て言ってるの?」
「だって、圭太は優香さんの言いなりだもの。私がいくら、二人で見に行ってらっしゃい、って行っても、優香さんが忙しいからムリ、ってそればっかりで、二人ともぜーんぜん、式に興味がないんだもの」
「………」
「私、うんと素敵な結婚式にしたいのよね」
相変わらず、頬を紅潮させながら明るく話す美智子は朗らかだった。
しかし、佐藤は以前の様に屈託のない気持ちにはなれない。
「あ、のりさん、それでね、今度の土曜日にそのプランナーの手がけた式のDVDをウチで見るから。
圭太と優香さんを呼んであるから、みんなで見ましょう? それで良かったら、彼女と決めちゃおうと思うの」
美智子は佐藤が反対するなんて考えもつかないようで、それだけ言うといつものように上機嫌でご飯の支度を始めた。
今や、佐藤家は結婚式一色であった。
嫌でも圭太と優香の話が佐藤の耳に入ってくる。佐藤は次第に追いつめられていった。