お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「それで、心境の変化はありましたか?琴理さん?」
綺麗な白い手で拳を作り、マイク代わりに私の口元に差し出した美夏が、いたずらにニヤリと微笑む。
「なっ、何言ってんの!?…ないない!!」
あまりに美夏の唐突な質問に、私は両手を胸の前でブンブンと振って否定した。
けれど、藤丸さんのことを考えるだけで、顔はどんどん熱を帯びてくる。
心境の変化。
そりゃあ、あのお見合いの頃の藤丸さんに対する拒否反応はなくなったけれど…。
「じゃあ、質問を変える。藤丸さんのこと考えるだけでドキドキしたり、他の女の人に取られたくないって思ったり、居ても経っても居られない程会いたくなったりすることってないの?」
私の反応を見かねた様子の美夏が、若干眉間に皺を寄せながら質問する。
「全くない、と言えば嘘かも。」
唯一無二とも呼べる親友に私は正直に白状する。