お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
プチン。
何かが頭の中ではじける音がした。
もう、こうなったら!!!
「…私、藤丸渉さんの婚約者です」
そう宣言してしまった時には、目の前の受付嬢は瞬きするのも忘れる位に呆気にとられた様子で、口をあんぐりとさせ、笑顔も引きつってしまっている。
隣の受付嬢はというと、矢継ぎ早に電話を切り、私の姿を舐めまわすように見て、首をひねっている。
「お、お名前、ちょ、頂戴しても、よ、よろしいですか」
明らかに動揺している目の前の受付嬢に名前を尋ねられ、私は小さく深呼吸する。
どんなにやけくそでも、やっぱり初対面の相手に自分のフルネームを名乗るのは、未だ勇気が必要みたいだ。
「あ…、あかい、赤井 琴理です」
まるで選挙カーのような名乗り方をした。
きっと、目の前の受付嬢に聞き返される。そう覚悟していたのに…。