お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~

プチン。

何かが頭の中ではじける音がした。


もう、こうなったら!!!



「…私、藤丸渉さんの婚約者です」

そう宣言してしまった時には、目の前の受付嬢は瞬きするのも忘れる位に呆気にとられた様子で、口をあんぐりとさせ、笑顔も引きつってしまっている。

隣の受付嬢はというと、矢継ぎ早に電話を切り、私の姿を舐めまわすように見て、首をひねっている。


「お、お名前、ちょ、頂戴しても、よ、よろしいですか」

明らかに動揺している目の前の受付嬢に名前を尋ねられ、私は小さく深呼吸する。
どんなにやけくそでも、やっぱり初対面の相手に自分のフルネームを名乗るのは、未だ勇気が必要みたいだ。


「あ…、あかい、赤井 琴理です」

まるで選挙カーのような名乗り方をした。
きっと、目の前の受付嬢に聞き返される。そう覚悟していたのに…。


< 153 / 291 >

この作品をシェア

pagetop