お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「さて、」

引き摺るように連れ戻された私は、都心の景色を一望できるガラス張りのリビングにあるソファーに座っていた。

湯気までが良い香りのするコーヒーを私の目の前にコトンと置いて、藤丸さんは正面に置いたスツールに腰を下ろした。


同棲生活初日。
初めてこの家に来た時と同じ席。
同じコーヒーの香り。



全く同じような状況なのに、あの日よりも今、この状況で無言の時間が流れている方が辛いと感じるのは、変わってしまった私たちの距離感のせい。

それから、気付いてしまった私自身の気持ちのせい。

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