お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
「じゃあ、どうして…」


何も言えなかった。

「琴理?」

小さく答えを促すかのように、藤丸さんに名前を呼ばれると私は何かに背中を押されるようにして言葉を紡ぎ出した。


「ゲームは終わりだって思って。この生活も、全部。またいつもの生活に戻るだけだって思ったんです。それでも藤丸さんの顔見たら、さよならなんて言えなくなりそうだったから」

「それで?」

「こんな中途半端な気持ちのまま、一緒には居ることなんて出来ないって思ってしまったから」

「そっか」
私の言葉に、藤丸さんはひどく傷ついて、そして悲しげに微笑んだ。


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