お見合い結婚~イケメン社長と婚前同居、始めます~
唇が離れるのとほぼ同時に、私は藤丸さんの胸の中に居た。

「ひゃっ」

小さな声をあげると、肩を震わせて楽しそうに笑う藤丸さんの声が聞こえてくる。
私の背中に回された手で、大切なものを包み込むように抱きしめられた。


藤丸さんの温かさに包まれて、私の胸の中まで暖かな何かが流れ込んできて、私もそっと両方の腕を藤丸さんの背中に回し、抱きしめた。



「はい。私の負けです」

胸の中で小さく敗北宣言をする。



負けを認めることは悔しいはずなのに、このゲームの負けを認めることは嬉しくて幸せで仕方なくて、思わず頬は綻んだ。

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