その男、猛獣につき

☆★☆

「舞花ちゃん、本当に彼氏いないの?」


散々からかわれた後、敦也さんの肩にテーピングの練習をさせて貰っていると、ふと敦也さんが私に訊ねた。

もう吹っ切れたはずのなのに、心のどこかで傷が少しだけ痛みを覚える。



「いないですよ。もう半年位……」

その言葉を発すると、頭の中で別れたはずなのに顔や声が鮮明によみがえってくる。

「なんで別れたの?」

「浮気してたんですよ。1つ上の先輩と付き合ってたんですけど、先輩、実習先の看護士と……。先輩が卒業と同時に私も捨てられました。」

面白くもない話。

そんな事分かりきっていたけれど、まだ言葉にするにはまだ時期尚早だったようで、心の傷がシクシクと疼きだした。



私は必死の強がりで、その傷を見せたくなくて、無理矢理口角をあげて笑顔を作る。

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