その男、猛獣につき
「今日からは、気持ち切り替えて頑張ります!!もう先生に迷惑かけません。先生が悩まずに実習の判定Aが出せるよう頑張るので、残り4週、よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げた有田に、俺が立ちすくんでしまった。
「あぁ、よろしく…」
俺が呟くより前に、有田は早足でスタッフルームに向かった。
有田のふっきれたような表情から目が離せなかった。
有田の後ろ姿を眺めながら、台風の日の夜、気持ちをぶつけておけばよかったのかもしれないという後悔が湧き上がってくる。
それでも、やっぱり実習中はそんな恋愛に振り回されている場合じゃないと自分に言い聞かせることが精いっぱいだった。