その男、猛獣につき
★☆★

木曜日の昼休み、スタッフルームでカップラーメンをすすりながら有田が提出したレポートを添削する。

 

あともう一歩足りないんだけどなぁ。

 

有田なりに丁寧にまとめられたレポートに、リハビリプログラムの方向性に迷いが生じているのが手に取るように分かる。

 

「夕方、ここは話し合ってみるかな」

誰もいないスタッフルームで、1人呟く。

 

実習5週目に突入して4日間。

有田は俺との間にあったことなんて、もう何もなかったかのように実習に取り組んでいる。

 

先週まではどことなく俺の言動に一喜一憂している雰囲気があったのに、そんな雰囲気も一切ない。

 

というよりも、俺の言動から少しでも何かを吸収しようとしているような瞳で毎日ギラギラしている。

 
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