その男、猛獣につき
先生は、私の様子を鼻でクスリと笑うと、もう一歩だけ歩み寄るものだから、私ももう一歩後ろに下がる。

 

そのせいで、私は非常階段の扉に背中が触れ、逃げ場を失う。

 

「先生?」

 

急に鼓動がスピードアップし始める。

 

 

私の呟きは聞こえなかったようで、先生は私の頭の横に右手をつく。

 

いわゆる、壁ドンとは、こういう体勢のことを言うのだろう。

 

私は思わず固く目を瞑る。

 

そんな私に先生は少しだけ身体を曲げて、私の唇に啄むようなキスを落とした。

 

 

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