その男、猛獣につき
「舞花、俺本気だからな」

送っていくと言ってくれて、私に背を向けてシャツを着ていた主税さんが私の方を振り返って真剣な眼差しを向けてくる。



主税さんに、名前で呼ばれるとなんだか胸がキュンと震えてしまって、そのシャンと伸びた背中に抱きつきたい衝動に駆られる。



「でも、明日からはしばらく我慢だな。あんなバイザー降りる覚悟はあるなんて言ったけれど、舞花のバイザーを降りる気なんてさらさらない。だから、あと二週間の辛抱、俺達2人の秘密だな」

「はい」


私は思わず笑みをこぼして返事をすると、主税さんは私の様子を見て微笑んだ。


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