その男、猛獣につき
「何でレポートでしっかり考察しているのに、スライドの資料に反映しないんだよ?ここからここまで、全部やり直し」

「えぇぇ!!!」

私が思わず声をあげると先生は、私をジロリと睨む。

「じゃあ、出来るまで、実習延長だな」

「がっ、頑張ります」

私が気合いを入れてそう返事をすると、先生は面白そうにクスリと笑い、おもむろに席から立ちあがる。

「まぁ、あと2週間切ったんだ。頑張れ」
先生は私に赤ペンでたくさんチェックのついたスライド資料を手渡し、スタッフルームを出ていく。


「俺は、延期でも大歓迎」

すれ違いざまに私の耳元で囁いた。

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