その男、猛獣につき
学校近くの私のアパートまで、主税さんが送ってくれることになった。

すっかり生活感のないADL室に戻ると、私は小さくリハビリ室に一礼して、病院を後にする。


主税さんのトランクに私の荷物を詰め込み、車に乗り込むと、主税さんは静かに車を発進させる。




段々と小さくなっていく病院を見ながら、別れの寂しさを感じていると、右手に主税さんの大きな手が重なる。

「えっ?」

「寂しいか?会いたくなったら、いつでも遊びにおいで。」

「ありがとうございます」

主税さんのしさが心に染みいる。


私が頬を綻ばせると、主税さんも安心したようににっこりと頬を緩ませた。


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