その男、猛獣につき
ようやく到着したアパートの駐車場。


いそいそと車から降りようとする私を押しとどめた主税さんは、運転席で小さく息を1つ吐くと、ズボンのポケットから小さな小箱を私に手渡した。



「これは?」

「誕生日プレゼント、21歳の恋人にキスだけなんてありえないだろう」



くすくすと思いだしたように笑う主税さんに私も誕生日の出来事を思い出して笑ってしまう。


初めて主税さんの家にお邪魔した時、私泥だらけだったなぁ。
まだ1か月しか経っていないのに、なんかずいぶん前のことのような気がする。




そんなことを考えながら小箱を開けると、中にはハートをモチーフにしたシンプルなデザインのネックレス。小さなハートの中に輝いている小さなダイヤモンド。


嬉しさよりも驚いて主税さんを振り向きみれば、主税さんは優しく笑っていた。


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