その男、猛獣につき
1時間の予定が、コンビニだけの予定が、なぜかドラッグストアでお菓子を大量に購入し、ラーメンまで一緒に食べ、車いすバスケにまで連れてきてしまった。
毎年この時期、実習生を受け持つと俺はマネジメントで帯同している車椅子バスケの見学に連れて来る。
俺が、有田を連れまわしてる図だよな。これ。
体育館の駐車場に車を駐車しながら、そんな考えがふと頭を過った。
車いすバスケの見学も実習の一環だ。
そう、自分に言い聞かせた。
体育館の中に入ると、急に有田は立ち止って、後ろに居た俺を振り返って見上げた。
「かっ、かっこいいです‼」
目をキラキラさせながら、満面の笑顔で。
目がくらむような笑顔だった。
心が揺さぶられるって、きっとこんなことをいうのだろうと思った。