その男、猛獣につき
「有田ちゃんにも、“適度な距離、適度な温度、ある程度の期待感”だからな」
「分かってますよ、実習生の指導も熱血になりすぎないように肝に銘じておきます」
患者さんの前では、常に冷静にいることを決めている自分も、実習生の指導ともなると毎年冷静を保とうとしているのについついその暑苦しさが出てきて、抑えることが大変な時がある。
そう思って答えた一言だったのに…
「興梠、お前全然分かってないな。有田ちゃんにはくれぐれも手を出すなよ!!ってことだ」
笑顔なのに、目は全く笑ってない課長。
「か、か、課長!!!出すわけないでしょう」
つい大声をあげてしまったが、昨日の一件を思い出し動揺せずにはいられなかった。