その男、猛獣につき

「先生!!あの…、このレポートのフィードバック終わったら、森田さんの治療のことで質問が。少しだけ治療手技について教えてもらいたいんですけど…。お時間よろしいですか?」


業務終了後、有田に添削したレポートを返却しようとスタッフルームに呼び出すと、有田は子犬がすがるような瞳をして俺に懇願した。

 

1人、また1人とスタッフが帰っていくなか、有田の発言を聞いていたであろう近くの席の課長が睨みをきかしている。

 

わかっています、課長

適度な距離感、適度な温度、ある程度の期待感ですよね

 

課長には、アイコンタクトを取り、了解した旨を合図で送る。



「あぁ、分かった」

俺は残業する羽目になったけれど、有田の懇願を了承した。

 

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