その男、猛獣につき
「でも、こんなに毎日遅くまで教えて頂いているので、なんだか申し訳なくて。今日は金曜日だし、先生も予定があるんじゃないかと……。あの、ほら。彼女とか!!」
「彼女はいない。もうここ半年位……。」
あぁ、もう本当に何を言ってしまっているんだ……。
有田の言葉に反応して、さっきからつい余計なことばかり口走ってしまう。
そんな俺と有田の様子を、竹内さんと嶋本さんは楽しそうに見ながら、ヤジを入れてくる。
「興梠先生、素直に言えば?有田さんと残って指導したいって。」
「有田さん、興梠先生彼女いないんですってよ‼」
有田の横顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていくのがわかる。
「ちょ、ちょっと、森田さんのところに行ってきまーす‼」
有田は、そう言い残して逃げるように部屋を出ていく。