シークレットな関係
「あれ?ももちゃんじゃないの。お久しぶり。どうしてここにいるの?」
今度はヘアメイクさんに会えた。
「ももちゃんたら、相変わらず美肌つるつるー!私がコスメ会社の社長だったら、絶対CMに使うわ!」
「洋子さん・・・」
この人はずっと私の担当をしていてくれた人で、会えたのがうれしくて、懐かしくて、自分が撮影側にいないのが情けなくて、涙が出てきた。
「え、あらやだ。ちょっとこっちに来て」
撮影スタッフたちから離れた木の陰で、洋子さんはティッシュで私の涙を拭いてくれた。
「ごめんなさい。洋子さんは仕事中なのに」
「いいの。丁度休憩に入るところだったし。私ね、ずーっとももちゃんに会いたかったの」
一層声を潜めた洋子さんが「聞きたいことがあるの」と言った。
「何ですか?」
「ももちゃんが出演したドラマ『茜色のロマンス』。あれを最後にももちゃんが消えちゃったじゃない。もう引退しちゃったのかなーって思ってたの。・・・結婚したの?」
「違います。結婚していないし、まだやめてないです。ただ、お仕事がもらえなくて。オーディションも受からなくて」
「なんだー。やっぱりそうだったの。じゃあ噂は本当みたいね」
噂?と訊くと、洋子さんはハッと驚いて口に手を当てた。
「知らなかったの?それなら、ももちゃんに言っていいのか迷うんだけど」
「話してください。お願いします。噂って何ですか」
「・・・ももちゃん、あの時の相手役の俳優さんに嫌われちゃったみたいで、芸能界から干されたって・・・話」
「干されたって、それは・・・あの人、そんなに力があったんですか?いくらうちの事務所が小さいと言っても、無理だと思うけど」
「彼って、当時のスポンサーや監督のお気に入りだったから、うまくやったんでしょうね。ほら、芸能界って怖いとこだってももちゃんも知ってるでしょ」
「・・・はい」