シークレットな関係


おじさんたちはこの近所に住んでいて、ひと月に一度はこうして帰宅前に飲んでいるという。

ここの店主が早く店を建てられるよう応援していると言った。


「だからさ、じゃんじゃん飲んで、食べてよ。ここはサイドメニューもイケるよ」


懐を叩いて胸を張るおじさんに、笹山さんたちは声をそろえた。


「じゃあ、遠慮なくー!」


テーブルの上にはサイドメニューも所狭しと並べられ、お酒も進んで話が弾む。

互いに自己紹介もせず、一夜限りの飲み友達。こんなの初めてで、楽しい。

そのうちに、向かい側に座ってる人が私の顔をじーっと見ているのに気が付いた。


「お姉さん、誰かに似てるってよく言われない?」

「え・・・誰にですか?」

「そうそう。俺もそう思っていたんだよ。誰だったかなー」


別のおじさんも考え込む仕草をする。


これは・・・マズイかも。

出来れば三人には知られたくない。

話題を変えようと思っても、みんながその話に食いついて似てる人探しをしている。

どうしようか・・・。


「あ!あの女優か?ちょっと前にやったテレビドラマに出ていた、ほら、赤いなんとかっていう」


一人のおじさんが思い出したのを皮切りに、みんなの記憶がどんどんよみがえっていく。

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