シークレットな関係
「じゃあよろしくお願いします。ヒロインを真ん中にしてください。桃瀬さんはヒロインの左隣に立ってください」
スタッフに支持されて、右から監督、ヒーローの友人、ヒーロー、ヒロイン、ヒロインの友人が並ぶ。
これは映画の制作発表会で、ヒロインは舞台経験のある新人女優。
ヒロインの友人は私、桃瀬さくらが演じることになった。
オーディションでは僅差で次点になり、なんと監督命令で急きょ役を作ったのだという。
みんなで映画のタイトルが書かれた看板を持ち笑顔を振りまくと、まぶしいくらいにフラッシュが光った。
ヒロイン役争奪戦には負けたけれど、結果的には宇津木晴香に勝ったことになる。
『ま、窮鼠猫を噛むを地でいったってことだ。褒めてやるよ』
相変わらずイヤミな言い方をした葛城専務だったけれど、その表情は少しだけ笑顔だったのを見逃してはいない。
「へえ、ヒロインの友人役か。出番は多いのか」
「うん、これが台本なの。私の役はヒロインとヒーローの間に入り込んでかき回す役なの。ヒロインを引き立てる」
「そうか。がんばれよ。じゃ、そろそろ行くか」
「うん」
ワンピースを着てお洒落をした私とスーツを着た彼。
出かける先はホテルの展望レストランだ。
役が決まったお祝いにと彼が予約してくれたのだ。